衝撃の判決がでました。
路線価などに基づいて算定した相続マンションの評価額が実勢価格より低すぎるとして、再評価し追徴課税した国税当局の処分の妥当性が争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(長嶺安政裁判長)は19日、国税当局の処分を適法とし、相続人側の上告を棄却した。国税当局の処分を妥当とした一、二審の判断を是認し、相続人側の敗訴が確定した。
過度な不動産節税に警鐘を鳴らす司法判断といえる。
相続税法は、不動産の相続税について「時価」に基づく算定を求めている。国税庁は時価の算定基準として取引価格の8割程度とされる路線価などを示している。ただ算定額が「著しく不適当」な場合は、国税当局が独自に再評価できるとする例外規定があり、訴訟では適用の是非が争われた。
第3小法廷は、国税当局の算定方法について「路線価などによる画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反する事情がある場合は(例外規定を用いる)合理的な理由がある」との初判断を示した。
その上で、本件では相続税の負担軽減を意図して不動産の購入や資金の借り入れが行われ、実際に相続税額がゼロになったことなどを指摘。「他の納税者との間に看過しがたい不均衡が生じ、租税負担の公平に反する」として例外規定の適用を認め、相続人側の主張を退けた。裁判官5人全員一致の結論。
判決によると、相続人は2012年、父親から東京都内などのマンション2棟を相続し、路線価を基に評価額を計約3億3千万円とした上で、購入時の借り入れと相殺して相続税を0円と申告。国税当局は不動産鑑定に基づき、評価額を計約12億7千万円と見直し、約3億円を追徴課税した。
一、二審は、路線価を基に評価すると税負担の公平を著しく害するのは明らかで、追徴課税は適法と判断していた。
わたくしサラリーマン乞食にとっては無縁の話ですが、相続税がかなりかかることが確実な資産家にとっては本当に吐きそうになるくらいのインパクトだと思います。
不動産について、相続税を計算する際の基準となるのが「路線価」です。
路線価は実勢価格の6〜7割くらいとされていますので、それだけで課税財産評価低減効果が期待できます。
さらに不動産を貸し出すことで貸家建付地としての評価となり、さらに課税財産評価低減効果が期待できます。
さらにさらに貸家建付地を取得する際に借入を起こすとそれが債務となり「負」の資産となり、さらにさらに課税財産評価低減効果が期待できます。
資産家は一族の繁栄を祈って生前に様々な相続税対策をします。
生前贈与しかり、生命保険の非課税枠しかり、教育資金贈与しかり。。。
借入を伴う不動産購入は相続税対策の集大成といっても過言ではないと思います。
それが今回ある種「否定」されたのです。
これはあまりにも大きい事実です。
課税当局のさじ加減ひとつで課税されるか課税されないかが決まるのです。
恣意的です。
こんな状況じゃ相続税がかかるかどうかを予見できません。
冒頭の記事の例だと相続税0円だったはずが、3億円に訂正され、それを払わされる羽目になったわけです。
こんなん相続人の人生狂いますよ。
不動産を売却していて、その資金を費消してしまうことだってなくはないわけです。
そこに寝耳に水の相続税支払が被さったら地獄そのものですよ。
無い袖は振れない状態で相続税を払えなければどうなるんでしょうか。
最悪、自己破産でしょうね。
人生、詰みです。。。
相続税の予見可能性を著しく悪化させる今回の判決は乞食的には全く容認できません。
課税当局の恣意的な相続税摘発事案が拡がらないことを祈らんばかりです。